増員時のこと
※注意※
今回、Snow Manの増員時のことについて書いていますが、私は当初かなり否定的だったし、その当時の思いをストレートに記しているので、過去のこととはいえネガティブなことを目に入れたくないという方は読まないでください。
Snow Manの増員が発表された2019年1月、私はSnow Manのファンになって約2年が経っていた。
ファンになったきっかけはパフォーマンスだったけれど、この頃にはそれ以外の部分も大好きになっていた。
2018年にYouTubeでジャニーズJr.チャンネルが開設されて、6人の飾らない姿をたくさん目にしたのが大きかったと思う。
YouTubeというのは本当にすごいもので、毎週更新されるのを追いかけるうちに、一度も現場に行ったことのない私でも、彼らのことをとても身近な存在に感じていた。
その、大好きで身近な存在に感じているグループに突然変化が生じた時、「あ、はい、そうなんですね、わかりました」とあっさり受け入れることは、どうしてもできなかった。
青天の霹靂、寝耳に水、驚天動地、茫然自失、瞠目結舌、思考停止。
増員が発表された時はそんな感じだった。
は?え?なに?え?は?なんで?なに?え?なんで?????
軽くパニックだったと思う。
でも、驚きと困惑の次に湧いてきたのは怒りと反発だった。
ここに来て増員って何?発案は本人たちじゃないよね?事務所側だよね?は?この6人じゃダメってこと?この6人じゃデビューできないってこと?デビューできたとしても売れないってこと?は?何それ?意味わかんない。バカにしてんの?
そう、増員する意図を考えた時に、私の大好きな6人を否定されたようで、バカにされているようで、それがすごく嫌だったのだ。
新メンバー3人が、また癪に障った。
15歳、ダンス世界大会準優勝のハーフ。
21歳、いかにも万人受けしそうなジャニーズ顔。
24歳、バラエティ大得意のコテコテの関西人。
これを入れるってことはつまり、「Snow Manには若さとキャッチーさが足りないよね、これじゃ売れないよ、足りない要素を連れてきてやったよ」ってこと?はぁ?ふざけんなよ、いらないし!
この時の私は、増員=武器が増える、とはどうしても考えられず、今までの6人を否定されたと思い込んだ。
増員をあっさり認めてしまったら、今まで応援してきた6人の価値が下がってしまうような気がしていた。
また、私は個人的に、「全員アクロバットができる」「低い声のイケボが揃っている」という点が大好きなポイントだったので、アクロバットができない3人が入ることも、変声期も終えていない子供の声が混ざることも嫌だった。
言い訳になってしまうが、ファンだったから、好きだったからこそ、反発が大きかったのだと思う。
その反面、ここまでしっかり確立されたグループに今さら増員というのは、気まぐれなどではなくデビューへの布石ではないかというのを感じてもいた。
が、それもまた反発につながった。
増員は受け入れたくないけれど、それでデビューできるなら、6人の今までが報われるならいいのでは?
いやでも、この3人が入ったからデビューできた、みたいになったら、6人でやってきたのがなんだったのみたいにならない?やっぱあの6人じゃダメだったよなってバカにされない?
それに「足りない要素=若さとキャッチーさ」を担う要因として3人が入ったなら、デビュー後はこの3人が特に売り出されるよね?
せっかくデビューできても、新参者の年下3人がプッシュされて、ずっとがんばって土台を築いてきた6人が蔑ろにされるなんて、絶対耐えられないし許せない。
……と、こういうことを考えて、そう考えた自分に気づいて、それはもうドン引きした。
いやいやいやいやちょっと待て。
「今まで自分が大好きだったものを否定されたように感じる」とか、「そもそも大好きなものが変わってしまうのが嫌だ」とか、「変わってしまったらどうなるのか不安だ」とかはまぁいい。
しょうがない。
人間心理としてわりと自然というか正常の範囲内というか、あり得る反応だ。
でも「許せない」って何?誰目線?
何様なの私は?
ステージママなの?モンペ?
私は彼らのファンではあるけど身内ではないよ?
え、ちょっと待って怖い怖い怖い何この異常な思考っていうかもはや思想?
こんなの知らない、え、私ってこんなこと考える人間だったの?
本当にゾっとした。
2年以上経った今でも、自分の中にあった異常性にドン引いてゾっとしたこと、それですごく凹んだことはよく覚えている。
それでだいぶ冷静になった。
一旦、ファンの感情を捨ててビジネスの視点で見てみようと思った。
そう、ビジネスの視点で見れば、この増員はすごくいいアイディアだったのだ。
「若さ」も「キャッチーさ」も、アイドルを売る上でとても有効な武器だ。
それを持っている人を前に押し出して客を呼び込んで、それからグループのことをちゃんと知ってもらってメンバー全員のことを見てもらおうというのは、とても堅実な戦略だ。
いくら実力があっても、見てもらえなければ意味がない。
むしろ実力があるならなおさら、どんな手を使ってでも客の目を引かなければもったいない。
だから、加入組3人のことをよく知らなくても、表面的なプロフィールを見ただけの時点でも、冷静に考えれば、彼らにデビューして成功してほしいと思うなら、否定する理由はないはずだ。
3人が加わることは、6人を否定することにはならない。
6人が素晴らしいからこそ、それをもっと世に知らしめるために新たな武器が必要で、3人はそれをもたらしてくれる存在なのだと、そう考えればいい。
……というのはまぁ、理屈なわけで。
理屈で心から納得できるほどできた人間でない私は、頭ではメリットを理解していても、とにかく「嫌だ!!!」という気持ちが消えなかった。
しかしいくら私が嫌だと思っていても、増員は決定事項だ。
雑誌もYouTubeも何もかもが9人になり、3人なんかいらない、6人が見たいのだと言ったところで、6人を追えば3人も目に入る。
そうしているうちに、嫌でも加入組の3人をただの「要素」ではなく「個人」として認識するようになる。
そうすると、反発することに罪悪感が出てくる。
私の「6人を否定するな!加入いらない!」っていうのは、この3人を否定することになってるよね?
自分がされて嫌なことをやっちゃってない?
3人が6人のことを尊敬していることも、歌舞伎で必死にがんばっていることも伝わってきたから尚更だった。
何より、増員は自分たちの意志だと、6人が、深澤くんが伝えてくれた。
6人が自分たちで選んで受け入れて、9人で一緒にがんばっているのに、私はそれを応援できていない。
それはファンと言っていいの?いつまでも6人にこだわって受け入れられないほうが悪いんじゃないの?
子供みたいに意固地になって好きだったものにしがみつく気持ちと、形が変わっても好きなことに変わりはない人たちを素直に応援したい気持ちとがこんがらがって、すごく悩んだし苦しかった。
でもそれも、この増員を決めた時の本人たちのほうがよっぽど悩んだし苦しんだだろうな、こうやって受け入れられないファンがいることでまた悩ませて苦しませてるんだろうな、「すぐに受け入れられない気持ちもわかるし待ってる」って言ってくれてたけど本当は決断を認めて応援してほしいだろうな、と思って、さらに胸中がこんがらがることになった。
ダメだ、パンクする、落ち着かなきゃ。ちょっと距離を置こう。
そう思ったのは、たぶん3月末くらい。
私が6人のことが大好きなのは間違いない。
今Snow Manは9人になって、ひたすら前を向いてがんばってる。
それなら増員は受け入れなきゃいけない。
受け入れたい気持ちはある。
でも私はまだそこまでいけていない。
距離を置いてみたら、心の整理がつくかもしれない。
とりあえず、雑誌を買うのをやめた。
歌舞伎の演舞場公演が始まってもレポを見ないようにした(当時Twitterをやっていなかったので、意図的に検索しなければいいことだった)。
ただし、5/5と5/17のレポはどうしても気になって検索してしまった。
「受け入れなきゃ」という気持ちがより強くなった。
それと、4月にいわふかラジオがあって、それを聞いた時も「いまだに増員のことでもやもやしてる私がおかしいのかな」って思った。
(この、「受け入れなきゃ」とか「私がおかしいのかな」とか思っている時点で、受け入れることに抵抗しているも同然なのだが……)
で、距離を置くというならば、もちろんYouTubeも見ないようにすればいいわけだが、それができなかった。
だってSnow Man以外にも見たいYouTubeはあるわけで、そのためにYouTubeを開くと視聴履歴からおすすめが表示されちゃうわけで、サムネが目に入っちゃったら見ちゃうわけで……YouTubeこわい。
でも、結果的にこれがよかった。
まず、やっぱり視覚的な“慣れ”というのは大きい。
最初は違和感しかなかった画も、見ているうちにだんだん慣れてくる。
週一で更新される動画を見ていれば、「9人いる」という事実に違和感を覚えなくなっていく。
そして、私にとってターニングポイントとなる動画を見ることができた。
5月末に出た「Lock on!」のダンプラだ。
あれは、なんていうか、本当に衝撃だった。
6人のSnow Manのままだったらきっともらえなかった曲だろうなとも思ったし、仮にもらったとしても、こういうパフォーマンスにはならなかっただろうなと思った。
画面越しでしかなくても、2年半も追ってきた人たちだ。
作り笑いをしていたり気を遣っていたりしたら、パフォーマンス中ならなおさら、気づく自信があった。
でもあの動画は、全員がものすごく楽しそうだった。
そして、深澤くんがとても優しい顔をしていた。
この3人は、私が大好きな6人にとって、本当に必要な人たちなんだ、この9人は間違いなくもう仲間なんだ、とすんなり理解できた。
そこから、増員後の動画を見返した。
そうしたら、反発を抱えて見ていた時とは違うふうに見えた。
私は深澤くんばかり見てしまうから深澤くんのことになるけれど、深澤くんが6人の時にはしていなかった顔を見せている。
反発を抱えていた時は、それを「新メンバーに気を遣っているから」と思っていたけれど、もちろんそれもあるだろうけど、反発を取り払って見たらそれだけじゃなくて、「年下の身内がいるから」なんだと思った。
深澤くんは誰にでも優しいけど、年下に特に優しい。というか甘い。
6人時代の紹介RAPで「後輩支持率No.1はこいつでしょ」と言われるくらい、キンプリの岩橋くんを「孫」と呼び「おじいちゃん」と呼ばれるくらい、おごりすぎて「さいふっか」というあだ名がつけられるくらい、少年忍者のメンバーから「ふっか」呼びされるくらい、年下を可愛がり年下から懐かれるのが深澤くんだ。
そんな人が、自分で身内に入れると決めた年下3人を、特に11歳も下のラウールくんを、可愛がりまくらないわけがないのだ。
可愛がって、甘やかして、守って、導いて、見守って……そういう「年上の身内としてできること」は全部やってあげたいと思うだろうし、実際やるだろう。
義務だからとかじゃなくて、心の底から可愛いと思っているから。
ああ、こういう顔いいな、好きだな。
増員がなかったら、こういう顔は見られなかったな。
そう思ったら、「受け入れなきゃ」とか「反発しちゃいけない」とか無理やり気持ちを変えようとしてたのが馬鹿みたいに、とても自然に「増員してよかったな、入ってくれてよかったな」と思えた。
これは私の考えに過ぎないし、全部勘違いで思い込みかもしれない。
9人が「Lock on!」を踊っているときに何を考えていたのかも、いつごろから本当に打ち解けたのかも、確かなことは何もわからない。
ただ単に、私個人が増員を受け入れられた経緯がこうだったというだけの話だ。
この時から、6人時代があったからこその9人だし、9人でSnow Manを大事にして飛躍してくれればいいと思えるようになった。
もちろん、先の不安はあった。
この形で成功したとして、それからどうなっていくのか、それを考えると怖かった。
でも、そんなのは6人だって考えたはずで、わかっているはずで。
彼らがそれも承知で、9人で歩いていくと決めたなら、それ以外に道はない。
私はそれをちゃんと応援しよう、だって大好きなんだから。
3人が入ってくれたことで見られるようになった顔を、ずっと見ていたいから。
無理なくそう思うことができて、うれしかった。
大好きな人たちが決めたことにやっと自分の気持ちが追いついたのだと、心底ほっとした。
こうして、私は心から、Snow Manの増員を受け入れることができた。
でも、ここから半年後。
私はまた悩むことになる。
より深く、より暗く。
それはまた次回。
次回:わかるけどわかりたくない話